2009年10月10日

5.透明

【ものかきさんに100のお題。】『5.透明』


5は、「伯爵と妖精」より、
初のエドリディに挑戦してみました!
パロですがダーク系ですので、閲覧ご注意です!!自己責任とさせていただきますのであしからず。
了承していただけましたら「続きを読む」からどうぞ^^
 その赤は、いかにもしあわせそうに、うっすらと微笑みをたたえていた。
 真っ白でなめらかな肌は、冷たいのか冴えていて、唯一その赤だけが、彼女が生きていることを示すようにみえた。
 実際、僕には彼女が生きているのか、死んでいるのかさえわからなかった。
 かたく閉じられたまぶたの下にねむる瞳が何色なのか、知りたくてたまらない。きっと、何色だとしても彼女は美しい。
 はじめて彼女を見つけてからずっと、僕はこうして毎日、透き通る大きな冷たい石の中の彼女を飽くことなくみつめている。
 いつか目覚めるのかどうか、それさえもわからないのに。


 ここは大陸の最北端。正確な場所なんて僕もしらないけれど、地図にのっていないことだけは確かだ。
 彼女を知っているのは僕だけだから。
 もはや、何のためにここに来たのか、何のために生きてきたのかさえ、僕は覚えていない。
 いつからここにいるのかもわからない。
 彼女を見つめているのはついさっきからな気もすれば、ずっと、生まれてからずっと見つめている気もする。僕は、僕が誰なのかを思い出そうとも思わない。
 ただ彼女を見つめていられることだけが、今の僕のすべてだった。

 彼女は眠っている。
 はじめて出会ったときからずっと、そのくちびるに笑みをたたえて、すべてを許すような神々しい様子で目を閉じている。
 それも、磨きたての硝子よりもさらに透明な結晶のなかで。
 それは、真っ白な洞窟の中央にあってなお透き通り、自らを主張するようにやけに明るかった。
 傷ひとつないその透度は、まるで彼女そのものをうつしているようだ。
「僕の妖精」
 新しい朝、僕はまた、彼女に触れるようにそっと、その石に触れた。
 もしかしたら今日は目覚めるかもしれない、その一心で彼女をみつめる。その目でみつめてほしくて、その声で呼んでほしくて。その微笑みがほしくて。
 けれど彼女は目覚めない。
 長くてなめらかなキャラメル色の髪は、相変わらず一筋も動かない。
 それは、いつものことだった。
 そう、いつものことだった、そのはずだ。

 それなのにその様子をみつめていた僕の心に、急にそれは沸き上がった。
 いつもと変わりない彼女は、やっぱり澄んだ透明な、一点のくもりもない氷の中にいて、どこかへ微笑みを向けていて。
 僕は急に、それが憎らしくなった。
 きみは僕のすべて。僕だけの妖精。
 彼女は、僕だけを見ていればいい。目を閉じることも、まぶたの裏にべつのものを描いて微笑みを向けることも、許さない。
 一点のくもりもない彼女の心を、この手で汚してやりたい。
 めちゃくちゃに傷を走らせ、ひびを入れて、透明なこの石を白く濁らせてやりたい。
 綺麗な、何の混じり気もない水晶を濁らせるのは驚くほど簡単だ。
 僕はおもむろにそれに爪をたてた。
 爪には、水晶は硬い。彼女はまだ眠っている。
「きみは僕のものなんだよ」
 だから僕だけをみて、僕に傷ついて、濁ってしまえばいい。
 そうすればもう、彼女は眠らないだろう。
 その瞳を閉じて、他のものを思い描くこともしなくなるだろう。
 僕にはきみだけなように、きみにも僕だけなのだから。
「…だからもう、寝ているのは許さないよ」
 僕の妖精、その目に僕だけをうつして、その声で僕だけを呼んで。その微笑みを、僕だけに向けてくれ。
 すべてを、僕だけに。
 身につけていた剣を抜くと、久しぶりに目にした鉄の輝きは、彼女の心から発せられるやわらかい光を受けて、鋭利にきらめいた。
 僕は久しぶりに微笑んで、眠る彼女に目を戻した。
 本当に、たやすい。
 一滴の汚れが、一辺の傷が大きなものになるのは、きみがあまりにも透明だからだよ。
 僕はためらいなく、僕がうつって金色に光る長剣を、美しくやわらかなきみの心に突き刺した。        



                     〜END〜

 なんだかよくわからないものが出来ました。
 狂人化エドガー視点。
 好きで好きで、それゆえにっていう…、不吉ですね。すみません;
 それにしてもこう…エドガーのセリフって書くのなかなか恥ずかしいですね(笑)
 初エドリディがこんなのですみません><。と思いながら、初のためにちょっとどきどきしてます…い、いかがでしょうか?

 透明って、失われやすいなって発想からきました。
 というのも、私、携帯に透明なラインストーンを数個つけていたのですが、少しでも粘着力弱くなって、元の場所からズレると、すぐさま白く濁っちゃうんですよ。
 それでそう思ったわけですが…どうでもいいですよね。またすみませんべらべらと…。
 それからもうひとつ、ハイネというひとの「恋に狂うとは、言葉が重複している。恋とはすでに狂気なのだ。」という名言(?)からもアイディアらしきものをもらいました。
 粉々に砕けた氷の中から出てきたリディアとエドガーがどうなったのか、最終的にどうなのか……うーん、どうなんでしょうね?(笑)
 一先ず、お題はこれまで。最後まで読んでくださってありがとうございました!

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posted by 聖火 at 17:52| Comment(0) | その他の二次 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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