2009年08月22日

餌付けのお菓子。

初☆二次創作やってみました!!大好きな「身代わり」で…
設定は、「結婚」の後日談…です。
いろいろと不安なのですが、コメントなどいただけたら嬉しいです。

では、「続きを読む」からどうぞ♪
「お嬢、ほら、菓子」
「え?うん、ありがとう」
 ミレーユは、本日四個目の菓子の箱を、きょとんとしながら受け取った。
 コンフィールド公国公女のシルフレイアの成人の儀も終わり、季節は早くも移り変わろうとしていた。
 フレッドが傷心旅行から帰ってきて、身代わりは終わったにも関わらず、ミレーユはなかなかサンジェルヴェの実家に帰れないでいた。父のエドゥアルトが、何かと理由をつけて返してくれないのだ。
 いい加減、ミレーユもいらいらし始めていた。早く帰ってパンの修行をしなければいけないのに、月日はびっくりするくらい早く過ぎてしまう。
 そうしていたら、なぜかこのところ、白百合騎士団の面々が、入れ替わり立ち替わりにお菓子を持ってきてくれるのだった。
 今日セオラスが持ってきたのは、以前、リヒャルトに口に放り込まれた覚えのある、おいしそうな杏の焼き菓子だ。
 もらえるのは嬉しいけど…、とミレーユは眉をひそめてセオラスを見た。彼は屈託なく笑っている。
 もしや、何かあったのだろうか。それとも、あのときのパンのお礼なのだろうか…それならばそう言ってくれればいいのに。
 ミレーユは、菓子を渡して、用事はすんだとばかりに揚々と去っていくセオラスの背を見送りながら、首をかしげた。

「ミレーユ、…それ、どうしたんですか?」
 リヒャルトが訪ねてきたのは、いつもの通り、夕方だった。
 勤めを終えてすぐに来たらしく、騎士の制服に身を包んだ彼は、厨房のテーブルに積み重ねられたお菓子の箱を見て、驚いたように尋ねた。
 問われたミレーユは、パンの生地をこねる手を止めた。
「それが、分かんないのよ。最近、白百合騎士団のみんなが、よく差し入れしてくれるのよね。それが、こんな量になっちゃって」
 ミレーユは、呆然と箱を見上げるリヒャルトのとなりに立って、箱を見上げた。あの後、さらに二、三人が訪ねてきて、結局本日のお菓子の量は七箱になってしまった。
「こんな量のお菓子、さすがのあたしでも食べきれないわ。気持ちはとても嬉しいんだけど。…でも、心当たりがないのよね…。リヒャルトはどうしてだと思う?」
 急に話をふられて、呆然としていたリヒャルトははっと我に返った。
「え?…いや、俺にもわかりません」
「やっぱりそうよね…。あたし、騎士団のみんなに、特に何もしてないし。思い当たることといえば、パンのお礼くらいなんだけど…」
 ミレーユは、あごに手をやって考え込んだ。
 一緒に考え込んだ様子のリヒャルトは、ふと隣のミレーユを見て、目が合うとおかしそうに笑い出した。
「え、な、何!?」
 慌てて、どこか変なのかと自分の格好を見下ろしたミレーユの頬に、リヒャルトの手が触れた。そのまま、優しく、でも有無を言わせない強い力で仰向かせられる。
「あごに、小麦粉がついてますよ」
 展開についていけず、真っ白になったミレーユの視線の先で、優しい微笑みと共にあごに触れられる。
 途端に我に返って、ミレーユは飛び退いた。
「ちょっ……、そういうのはやめなさいって、もう何度も何度も言ってるでしょー!?」
 リヒャルトに指を突きつけながら怒鳴ると、ミレーユに触れていた手をそのままに固まっていた彼は、びっくりしたようにまばたいた。
「…そういうの…?」
 当の彼が無自覚であればあるほど、ミレーユは顔が火照っているのを自覚する羽目になる。
「だから、そうやってむやみに――…」
 今回こそは天然を自覚させなくちゃ、とミレーユが口を開いた次の瞬間に、脇に重なっていた箱のタワーが崩れかかってきた。
「危ない!!」
 あまりに突然のことに動けないでいたミレーユは、気づけばリヒャルトに抱きしめられ、ふたりで床に転がっていた。
 そういえば王宮でも、彼はヴィルフリートの奇襲から、こうやって庇ってくれた。
「…大丈夫ですか?」
「う、うん」
 勢いをそがれて、ミレーユは素直に頷いた。
 立ち上がった彼に助け起こされながら、ミレーユは気になったことを尋ねた。
「ねえ、リヒャルトは何でそんなに反射神経がいいの?」
「さあ…たぶん、訓練の成果でしょう」
「訓練って、騎士の?」
「ええ、まあ」
 曖昧に答えたリヒャルトの返事に、大いに感動したミレーユは、じゃあ、と勢い込んでさらにリヒャルトが困る質問をした。
「フレッドも受けた訓練なのよね!?どんな訓練なの?」
「いや…それは…」
 困って目を泳がせたリヒャルトは、突然、あ、と言って傍らを見下ろした。
 つられてそちらを見たミレーユは、ああっ!と叫んだ。
「お菓子!!せっかく騎士団のみんながくれたお菓子がっ!!」
 崩れた箱は、もともとの役割である中身の保護を果たせなくなっていた。慌てて拾っても後の祭りで、お菓子の大半は床に落ちてしまっていた。
「あたし、最低だわ…。厚意でくれたお菓子なのに、粗末に扱うなんて」
 座り込んで、つぶれたお菓子の箱を膝にのせたまま、ミレーユはうつむいた。
 リヒャルトは最初、あまりの感情の激しさについていけずに、唖然と様子を見守っていたのだが、ミレーユが落ち込みはじめたので慌ててなぐさめにかかった。
 座り込んでいるミレーユの傍らに立て膝をして、そっと背に手を添える。
「そんな、粗末に扱ってなんていなかったじゃないですか。箱が崩れたのはあなたのせいじゃありませんし、みんなも許してくれますよ」
「でも、どれも高級そうなお菓子なのよ。それに、許す許さないの問題じゃなくて、もったいないじゃない」
「それはそうですが…」
「それにこれ。見て」
「……?」
 ミレーユが膝にのせていた箱を差し出してきたので、リヒャルトはそれをのぞき込んだ。
「杏の焼き菓子よ。覚えてない?あたしが初めて身代わりとして出仕したとき、リヒャルトがあたしの口に放り込んでくれたじゃない」
「ああ…どうりで見覚えがあると思いました」
 頷いて、微笑んだリヒャルトだったが、ミレーユはまたうつむいてしまった。そのまま、持っていた箱を抱え込むようにして、小さくため息をついた。
「あたし、このお菓子好きだったのに…」
 小さなつぶやきが聞こえて、リヒャルトは内心で少しうろたえた。
 今のは、どういう意味なのだろう。彼女のことだから、単純に、そのままの意味なのだろうが…それにしても、文脈が悪すぎる。思わず、誤解してしまいそうになった。
 ちょっと恨めしく思いながら、リヒャルトは背に添えていた手で、うつむいた彼女の頭をそっと撫でた。
「それはまた、俺が買ってきますから。元気を出してください」
 …あなたの好きなそのお菓子は、できれば俺が買ってあげたいですし。
 つい出かかりそうになった言葉を、リヒャルトはすんでのところで飲み込んだ。こんなことを言ったら、また怒られそうな気がした。
 ミレーユはしばらく、何も言わずに黙っていたが、やがてちょっと顔を上げた。
「……そうよね。落ち込んでても、何も変わらないわよね」
 よし、と気合いを入れるようにつぶやくと、ミレーユは抱えていた箱を、はい、と隣にいたリヒャルトに押しつけた。
「…え?」
 受け取ったリヒャルトは、いきなりそのへんに散らばったお菓子を拾い集め始めるミレーユに、目を瞠った。
「考えてみれば、ここって厨房なんだから、床もそこまで汚くないはずなのよ」
 ひっくり返った箱を拾って、こぼれ出ているお菓子をその中に拾いながら、ミレーユは説明した。
「水で洗えるものは洗って、汚い部分を切り落とせば、食べられないこともないわよね。ちょっと意地汚い気もするけど…でもやっぱり、もらったものを粗末にしたらいけないわ。リヒャルトもそう思うでしょ?」
「はあ…」
 生返事をするリヒャルトの腕に、今度は拾い集めたお菓子でいっぱいの箱が手渡される。
もう元気を取り戻したのか、お菓子を拾い集めながら話す彼女の声は、いつもの明るさだ。
 落ちたお菓子を食べると公言するのも、あの驚きの行動力の一種のような気もする。いつもいつも、驚かされてばかりだ。
 リヒャルトは苦笑して、持たされた箱を、テーブルに置くと、自分も菓子を拾うべく、再びひざをついた。
「俺も手伝いますよ」
 手伝うけれども、あの杏の菓子は、もう一度買いに行こう。
 そして官舎に帰ったら、なぜ自分の趣味であったはずのことを彼らが知っているのかも、問いたださねばならない。
 散らばった菓子をミレーユと共に拾いながら、リヒャルトは心の内で思った。





*あとがき

す、すみませんでした…(いきなり)
駄文に最後までおつきあい頂き、ありがとうございました!
題が思いつかなくて、テキトーですみません><;
間違い、おかしいよ!という点があったら、どうぞご遠慮なくお申し付けください☆
posted by 聖火 at 23:24| Comment(12) | 二次創作・身代わり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
きゃー!さっそく書いてくださったんですね!仲間が増えて嬉しいです♪
自分だけの特権(役得)を奪われそうになってちょっと呆然としているリヒャルトが可愛いです。そうか、そういえば彼もこのとき辺りまでは控え目だったのでしたね(笑)
ミレーユの口調が原作そっくりですね。私が書くとかなり適当なので反省いたしました。
素敵なリヒミレありがとうございました!
Posted by 相馬つかさ at 2009年08月23日 22:29
 初めまして、riri-と申します。
 二次創作読ませてもらいました^^
 こういうシーンが原作にもありそうなくらい、ミレーユとリヒャルトの雰囲気がでてると思います!
 もったいない、の発想がさすがミレーユですね(笑
  でも私も同意見だったり^^;
 感想としては全然お役に立たないようなことしか書けなくて申し訳ないですが、とっても面白かったです。
 素敵な作品ありがとうございました!
 また次も是非書いて下さいね〜ノシ
 
Posted by riri- at 2009年08月25日 00:24
 すみません、手違いで二度も同じコメントをしてしまっていましたorz
 ご迷惑をおかけしました。
Posted by at 2009年08月25日 00:28

コメント有り難うございます!はげみになりましたv
文章書くの下手な部類の人間ですが、精進したいと思いますので、よろしければまたお願いいたします!

>相馬様
先ほどHPを拝見したら、宣伝していただいていてびっくりしました!とっても嬉しいです…こんなへたっぴな二次に…><。本当に有り難うございますv
そうなのです…!今の彼ら、もちろん大好きなのですが、「〜結婚」の感想を書いていて、新鮮なふたりを書いてみたいなと思って…何せ二次初心者なので;;リヒャルトはヘタレでした…(苦笑)
次は甘いリヒミレ挑戦してみたいです…!!>へ<

あっ!今更なのですが、リンクさせていただいてもよろしいでしょうか?


>riri-様
初めましてっ!!*^ワ^*こんな初心者のブログに来て頂いて、しかもコメントまでくださって、本当に有り難うございますv
実は私も同意見ですwミレーユには捨ててほしくないなあと思って…彼女が捨てるはずもないと思いますが…(笑)小麦丸に相当怒ってましたし^^
いいえ!そんなことないですよ!とても励みになりますv
下手の横好きを、どうにか好きこそものの上手なれと言って頂けるように、日々精進したいと思いますので、これからもよろしくお願いします♪



それでは、長文失礼いたしました;


Posted by 聖火 at 2009年08月28日 22:25
P.S.>riri-様
二回目のコメントは削除しておきましたので、お気になさらず^^
Posted by 聖火 at 2009年08月28日 22:27
こんにちは♪
リンクはってくださるんですか?ありがとうございます!こちらからもぜひお願いいたします☆
Posted by 相馬 at 2009年08月29日 12:01

許可有り難うございます>▽<v
早速はらせていただきました!
よろしくお願いいたします。
Posted by 聖火 at 2009年08月30日 14:41
はじめまして。sakuraと申します。
相馬さまのページを介して、こちらにお邪魔させて頂きました。
まだ『結婚』後の初々しい(?)二人が見られて楽しかったです!

他の方の創作を読むと、自分では思い付かないストーリー展開で新鮮です!
先の展開が楽しみでニヤニヤしながら読みました(笑)。
お菓子を大事にするミレーユは偉いです!

これからも創作を楽しみにしております。短文でも是非読みたいです。
長文、失礼致しました。m(__)m
Posted by sakura at 2009年08月30日 23:59
はじめまして、みけねこと申します。身代わりシリーズにどっぷりハマってます。身代わりのssはまだ少ないですが、ちょっとずつ出てきているようで嬉しいです。特権の餌付けがいつのまにか広まってることに呆然としているリヒャルトと相変わらず食べものを大事にするミレーユに笑いました。これからも書いていただけたら、喜んで読みに来させてもらいます!
Posted by みけねこ at 2009年08月31日 00:10

コメント有り難うございます><。
感動して泣きそうです…(笑)

>sakura様
ご訪問、有り難うございますv
そしてコメントして頂いて感謝してます!
こんなところで申し上げるのも何ですが…実はsakura様のサイトも、ちょくちょく拝見させていただいてましたvシアラン編後の設定に、自分でも恥ずかしいくらい喜びました…(照)
おそれおおくも、今度書いてみたい、と思ったり…;

楽しんで頂けて光栄ですv
まだまだ二次創作自体新米なので、日々精進したいと思います!
『結婚』を含め、リヒャルトの正体がバレるまでの、じれじれしたふたりの関係が、実は私、大好きなのですw
もちろん、想い通じ合って幸せなふたりもツボですが…*^^*

短文でも、と言って頂けると、ほっとします…(笑)
モチーフ見つけ次第、身代わりキャラを想像してみようかな、と思いますwので、ぜひよろしくお願いします!!


>みけねこ様
ご訪問とコメント、有り難うございますv
とてもうれしいです…>v<。

私も身代わり大好きですvv
そうですね、私も、あんなに面白いのにssが少ないとお聞きして、ならば非力ながら、と書いてみた次第です;

実は『結婚』の感想を書くために読み返していたら、ちゃっかりセオラスたちに餌付け場面を目撃されているので、その後が気になってしまって…
きっと焦るのではないかな、と(笑)
ミレーユは庶民的で、明るく、まっすぐに、がモットーだと思うので…w

有り難うございますv
楽しんで頂けるよう、これからもっと腕を磨きたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします☆

Posted by 聖火 at 2009年09月01日 17:09
相馬さんのところから来ました。
リヒャルトとミレーユかわいいー。

みなさん糖分大目のシュガーコーティングものがお上手ですね。

あたしもやってますが、手を繋ぐくらいですよ(笑)。
これからも期待していいですか?
また来させてもらいますね。
Posted by 桔梗 at 2009年09月10日 02:36

はじめまして!!
コメント有り難うございます^^
お褒めにあずかり光栄です。

>みなさん糖分大目のシュガーコーティングものがお上手ですね。

いえ、実は私は、糖度高めのお話は、読むのは大好きなんですけど、書くのは照れてしまって得意ではないんです(笑);
皆様本当にすごいと思います…見習いたいです!!

URL有り難うございます♪
早速お邪魔させて頂こうと思いますw

これからもご期待に添えるよう頑張りますので、
ぜひよろしくお願いします^^

Posted by 聖火 at 2009年09月10日 15:41
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